のどぐろ料理は、始めて15年以上になります。お客様には鮮度のいい、脂ののった素材だけお出ししたいと常々考えています。
京都府・兵庫県産ののどぐろは9月10月が1番脂ののりが良く、大きければ大きいほど脂ののりは格別です。しかし漁船の段階からお客様のお口に届くまでの間、魚の処理が素早く行われていなければなりません。鮮度の良さは身の張りと腹の硬さで判断しますが、その目利きさえ間違わなければ、美味しいのどぐろをお口にお届けできます。箱でまとめて仕入れるため、万が一悪いものが混ざっていた場合でも、お客様にお出しすることはありません。
羽衣荘でお出しするのどぐろは、漁港での水揚げから下処理までの間に24時間以上経過したものはお出ししていません。内蔵の処理などの下処理までの時間が長ければ長いほど、身がブヨブヨになったりと素材の質が落ちるためです。羽衣荘は仕入先の魚屋との連携・協力で、質が低下しない保存状態を徹底しています。当宿に仕入れ直後には即座に下処理を行います。
極上のどぐろフルコースでは、朝食の自家製一夜干しや煮付けを合わせると1人前約1キロ程度使用します。ここまでのど黒を使用するのは羽衣荘だけ!羽衣荘は「づくし」にこだわっており、希少素材をふんだんに使いますので、徹底的に魚の旨さを堪能していただけます。また、刺身や炭火焼き、しゃぶしゃぶは400g以上のノドグロのみ使用。400g以上は総水揚げ量の3割にも満たない貴重な大きさ。大型のほうがより脂ののりがよく、刺身や炭火焼きに向いているためです。(写真は二人前)
極上コースでは朝食でものどぐろをふんだんに使用します。すべて「のどぐろ」ですが、味や食感のバリエーションは全15種類。天ぷらは地元の琴引の塩と神馬藻の藻塩、しゃぶしゃぶには好評の自家製柚子胡椒。刺身には坂長の醤油をベースにしたオリジナル醤油、すだちと塩、おろしポン酢の3種類…など。出汁の取り方、調理法、味付け、すべて1品ごとに異なる味をお愉しみいただけます。
羽衣荘がお出しするのどぐろの美味しさは「さっぱりさと濃厚さを合わせ持っている」ということ。一見相反するように思えるこの贅沢な味わいは、本当に鮮度が良いものを正しく寝かせなければ実現できません。後味はやはりさっぱりとしており、食べ飽きしない味なのに、口の中にまったりとした濃厚な旨味が広がります。これが「白身のトロ」と呼ばれる所以でもあり、「お肉を食べた以上の満足感がある」というお声もよくいただきます。羽衣荘では、魚屋から厳選された素材のみを仕入れ、様々な味・食感の違いを楽しんでいただきます。
強火で一気に焼き上げるのど黒炭火焼き。皮目はパリッと身はフワッと焼き上がるよう、丁寧に焼いてお出ししています。白身のトロと称されるのど黒の脂が溢れ出ます!のどぐろは脂多いので、炙るとまた旨味が増すんです。焼きすぎると、のどぐろの皮がよくひっつくので、そこは絶妙なタイミングで焼き上げております。
ちょっとすだちを絞ってもらって。食べてみてださい。お客様、本当に美味しいと、一瞬止まるんですね…ちょっとためてから「お い し 〜 い…」とご満足いただいています。
「こんなの食べたことない!」とよく言われる棒寿司!これはよそでは食べられませんよ〜。コハダなんかでよくされる「三段締め」とやらを取り入れて、塩と、酢と、昆布で味をつけてます。そしてお米!地元の丹後コシヒカリ(食味ランキング特A)を、井戸水を使って炊いたごはんなんです!この美味しさは、水道水で炊いても出せないんです。棒寿司は最後に出るので、ぜひお腹あけといてくださいね。よくしゃぶしゃぶの出汁を飲み干してしまって、お腹がふくれる方が多いので。それと「ぜひ宅配で販売して欲しい」とお声をいただくんですが…冷凍するとごはんが硬くなるので、やっぱりできなくて。ごめんなさい!
棒寿司は、決して濃い味付けではありませんが、それでも満足いただけるようにするには、やはり「絶妙な味のバランス」が重要です。その絶妙さが出るよう、塩・酢・昆布のつけ時間の調整に神経を注ぎます。特に酢の時間は30秒単位で何度も試行錯誤してきました。また、塩もブランド塩を使えばおいしくなるかと思えば…それよりも、一般的な粗塩のほうが美味しく仕上がることが分かっています。微調整を繰り返して、今現在は「これでお客様にお出ししても恥ずかしくない」と思えるものに仕上げました。
羽衣荘は希少三昧の宿、「食材特化」のお料理を出す宿です。そのため、希少素材を最初から最後まで味わっていただけるフルコースをご提供しています。「全部のどぐろが使われていたら飽きるんじゃないか」と思われるかもしれませんが、シンプルな味付けながらも飽きが来ない味・食感のバリエーションでお出ししますので、飽きることなく絶妙な味の違いをお愉しみいただけます。
姿造りにして、薄造りと皮目を炙った炙りでお出しします。すだちと琴引の塩、自家製醤油とワサビ、ポン酢大根おろしの3種類で。
とろける食感。のどぐろの骨を焼いた出汁をとり、出汁そのものの旨さにこだわっています。お好みで自家製柚子胡椒を。
強火で一気に焼き上げる炭火焼き。皮目はパリッと身はフワッと。白身のトロと称されるのど黒の脂が溢れ出ます!
薄い龍皮昆布の上にのどぐろを並べ、大葉等と一緒に巻いた酢の物。卵黄と土佐酢を用いたオリジナルの酢でどうぞ。
他では食べる事の出来ないのどぐろの卵で作るカラスミ。地酒と一緒に。※仕込み量、仕込み時期によりお出し出来ない場合が御座います。
のど黒の骨やアラを焼き、2時間かけじっくりと旨味を出し切りその中でのどぐろを低温調理。掛ける餡にものどぐろの出汁を使い、食感のアクセントは鱗の素揚げで。
のどぐろと野菜。天だしと大根おろし、藻塩とレモンの2種類で。あとしゃぶしゃぶのタレにつけたら美味しいというお客様も。
「もち米入ってますか?」と聞かれるほどモチモチの丹後コシヒカリと、のどぐろの塩・酢・昆布の三段締めで丁寧に仕上げました。
プランの中でも「極上のどぐろ三昧コース」をお選びいただいたお客様には、翌日の朝食にものどぐろをふんだんに使ったお料理をお出ししています。
「お前はノドグロいうより
ハラグロやけどな〜」
というネタもよく見られます!
最近ではメジャーになってきたのどぐろは、正式名称では「アカムツ」というスズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科の魚です。9月から解禁される底引き漁でとれる高級魚の一つで、深海魚なので目がとても大きくクリクリしており、顔つきも愛らしい魚です。色もご覧の通り赤っぽく、独特の光沢を持っています。
羽衣荘では特に炭火焼きなどでよく分かるのですが、のどぐろは本当によく脂がのっており、旨味がとても強い魚です。ただ焼いただけでも脂が強いので、何か油をひいたのではないか?と思われるほどです。この事からよく「白身のトロ」と呼ばれます。白身なのでクセがなく、さっぱりと脂の旨味を味わえる贅沢な逸品です。